ウサギの男のコで
まれに精巣が片方しかないコがいます。
仰向けにした姿。向かって右にはありますが
左にはありません。
これを潜在精巣といいます。陰睾とも呼ばれます。
先天性に全くない、欠損しているというわけではなく、
お腹の中に精巣が入ったままの状態です。
イヌでは時おり見られます。
この潜在精巣は痛みも何もないので
そのままにしておかれがちです。
ところが放置しておくとおなかの中の精巣が
腫瘍化してしまうことがあります。
このことはイヌの獣医療では常識のように知られていますが
ウサギではよくわかっていませんでした。
ウサギは病気にはならないのではないか、
手術しておく必要は本当にあるのだろうか、
イヌの常識をそのまま当てはめていいのだろうか、
当院でもはっきりとした根拠がないために
非常に悩ましいことでありました。
しかし近年、飼われているウサギの寿命が延びたことによって
この潜在精巣が腫瘍化してしまっているケースを
散見するようになりました。
とんでもなく巨大化して臓器を圧迫することもありますから
早期の対処が重要と思います。
健診時には必ずチェックしているポイントですが
可能ならばご自宅でも確認してみてもいいでしょう。
「ウサギは成熟しても鼠径輪が開いたままになっている」
という誤認しやすい超重要なポイントがあります。
これはまたいずれご紹介します。